暖かさへ集うこと

関東の気温が12月並みまで下がった10月22日、小雨のなか朝粥を食べに行き、帰りに灯油を買い、帰宅して即ストーブを出した。
今年頭の引っ越しの際、目星をつけていたトヨトミの対流型ストーブの価格がなぜか高騰していて購入を見送ったのだが、もはや春、みたいな時期になって急に定価へ戻り、まあどうせ必要になるのだからと買っておいたものだった。二、三度使っただけで、ねこたちにとってはまだあまり馴染みがなかったと思う。

話は前後して、10月半ばの夜、長年愛用している暖房器具サンラメラ、通称・メラメラを引っ張り出すことにした。ねこたちはメラメラが大好きで、冬から春までこの前を離れない(家族曰く、メラメラのスイッチを入れれば「吾輩は春までなんもせえへん」)。
慎重派の吾輩は、大きいものを見たり、出し入れする落ち着きのない音を聞くといつもすぐに身を隠すのだが、このときだけは近距離でじっと見ていた(わたしにはわかる。「それが一体なにものか吾輩にはよくわかっている、はよう出せ、そしてスイッチを入れろ」と言っている)。
部屋へ運ぶ。吾輩も移動する。本棚の上へ陣取る。コンセントを差す。メラメラのスイッチをONへ傾ける。数分後、吾輩はすっかり特等席におさまっている。

これは例年どおり。違ったのは、吾輩が我が家へやってきた年の冬から使っている毛布がないこと。
メラメラの前にはその毛布が敷いてあるのがお決まりだったが、引っ越しのどたばたでほこりっぽくなりすぎて、しょうがなく処分した。今回メラメラの前に置いたのは、毛布の処分後に間に合わせで買ったクッションベッドだが、これが二匹には小さい。正確には小さくもない、のだが、メラメラの前へ収まるとねこたちはとにかく骨抜きになって、くったくたの半液状体になる。人が出入りしても耳ひとつ動かさない。ねこが一匹くたくたに溶けてしまうと、もう一匹はなかなかクッションベッドにおさまることができない。ちょっと寄ってくれ、みたいな感じで乗り上げていくこともあるのだが、いかんせん先客は一切身じろぎをしないため、いまいちおさまることができない。そしてうらめしそうに床板に座るので、人間はそのへんに脱いだ洋服などをベッド代わりに差し出すはめになる。
ということで、大きめの安価なベッドと、わたしが欲しいくらいの良質なウールのブランケットを奮発して買って、これが22日に届いたのだった。

やっと話が戻る。見るだけで暖かいような気がするストーブの前に、新しいベッドを置く。吾輩とふたつに紹介する。ちょっとにおいを嗅ぐ。ガン無視。しばらく様子を見る。強硬派のふたつでさえ知らん顔で飛び越える。ねこは安物にそっぽを向いて高級品をしれっと下敷きにするみたいなところがあると思う。のわりにただのコピー紙の上に座っていたりもするけど……。まあなんにせよストーブを点火する。ベッドの上にブランケットを敷く。数分後、ねこたちはおさまるべくところへおさまる。

暖かい部屋で、伸縮する火とねこたちを眺め、晩ごはんを食べる。白菜としめじと豚肉のせいろ蒸し、かますのソテー、寝かしていた小布施ワイナリーの日本酒。ねこは暖かさを好むが、それはとても本質的なことだと思う。当たり前のものが当たり前に機能しているのを見ると、わたしは時々泣きそうになる。ねこの暮らしの中に、当然のように宿って気づきもしない暖かさがありますように、と思う。